私は家事をしながらよくYouTubeを聴いています。
先日は『日経テレ東大学』で、日本人の国語力の低下に関する話を耳にしました。
文章は読めても、内容を理解できる人が少なくなってきているといった内容でした。
お話しされていたのは、作家の石井光太さんという方です。
なかなか面白いことをおっしゃる方だと、著作を読んでみたくなりました。
で、『蛍の森』を手にしたのですが(近所の図書館は小さくて、石井さんの他の本が見つかりませんでした……)
作中のハンセン病の方々が受けた差別の話が生々しくて、読んだ後も暗い気持ちになりました。
私が離婚して最初に住んだ場所の近くにハンセン病の方達の療養施設がありました。
昔は施設の中に入ることはできなかったそうですが、私が住み出した頃は解放されていました。
最寄りの駅に向かう近道ということもあり、朝は自転車で向かう人達が大勢いました。
私も保育園に向かうため、自転車の前後に子供二人を乗せて、毎日のように施設の中を通り抜けていましたが、忙しさにかまけて、その施設について深く考えたりはしませんでした。
何度か患者さんらしき人にでくわしましたが、会釈をするだけで、何の感慨も起きませんでした。
その頃の私は将来の不安で頭がいっぱいで、人のことなど構っていられなかったのです。
本の内容に話を戻します。
酷い描写に何度か本を閉じましたが、
なんとか読み終えて、いくつか疑問に感じたことがあります。
収容所に入ると、断種や不妊手術を受けさせられたというのに、
本の中に登場する女性が、収容所の中で、男達の慰み者にされて何度も妊娠と堕胎を繰り返すというのは、おかしい気がしました。
収容所に入ったときにはきれいな顔をしていたその女性の顔が、歳をとって変形したように書かれていましたが、彼女より先に収容所に入った患者が病気の進行を止める治療を受けているというのに、なぜ彼女は受けられなかったのか(治療に効果がなかったのか?)
石井さんがハンセン病の取材をされて、見聞きしたことを小説とうい形にして書かれているようですが、誇張表現やフィクションの部分が多分にあるのかもしれません。
何にしても、ミステリー小説としては面白かったです。
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